ベトナム報告4年目

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シンチャオー(こんにちは)からダンビィア(さよなら)ベトナム

北里研究所   馬場 建一

今年は、ベトナム国と日本国との麻疹(はしか)ワクチン製造技術移転プロジェクトも、最後の年(4年目)となりました。振り返ってみると、1年目は施設及び機材の立ち上げを最優先課題として取り組み、初期の目的を遅滞無く達成でき、2年目は北里の原液(麻疹)ウイルスを使用して最終製品製造工程及びその品質管理が出来ることを目指しました。3年目は指導の成果としてベトナムが実施計画書、標準操作手順書(SOP)、GMP手順書等の各種書類に関してレビューをおこない、最終的には英語版を作成しました。また、各技術移転項目については、実績管理表を作成してモニタリングを行い、一定のレベルに達した認定書を発行し、その指導項目に対する技術移転の完了としました。この間、JICA(国際協力機構)よりベトナム国麻疹ワクチン製造技術移転プロジェクトに係る成果品の検査結果及び実績評価結果について、2年連続で「A」もらいました。日本では類がないそうです。とても名誉です。また、WHO-GMPに適合した麻疹ワクチンを製造し750万ドーズ製造できる能力が出来、国内で臨床試験を開始し、3年目を完了しました。

今年(4年目)は、ベトナム自身で原液から製品、販売まですべてを行い第2回目の臨床試験を予定し、本年10月を目標に販売ライセンスを取得する予定にしています。

私は、5月の連休にベトナムに行き、品質管理の最終チェック、最終製品の管理、保存試験、被臨床試験及び臨床試験に用いる製品の参考品管理と運用を教育、実施しました。その他に、ゴミの分別、排水処理、防虫及び動物舎の運用を行ってきました。

*閑話休題*  日本からハノイ国際空港に着いて、税関でパスポートを提示しようとしたら、現地のカウンタースタッフと税関係が居てパスポートを取り上げ「ついて来い」と云う。みんなにジロジロ見られきまりが悪い。"早く行っても荷物はどうするの"と云ったら笑ってごまかされた。彼等にとっては、私に対する最大のおもてなしだろうと思い、有り難うとお礼を言いました。空港の出口で迎えの車に乗ってハノイ市内のホテルに向かったが、日本との温度差18℃であった。当然その夜は眠られませんでした。

 去年の12月24日のクリスマス・イブの夜の事、ベトナムのサッカーチームが勝った夜と重なって、ハノイ市内のメインストリートは、群衆で動けないほどでした。運良く私はガイドの女性とたまたま一緒で、はぐれないようにと私をホテルまで2時間歩いて送ってくれました。私は、年甲斐もなくドキドキし、とてもいい感じで夢の世界とはこのことかと思い、おかげでその夜はなかなか眠つかれませんでした。

 最後に、こんな自分に名誉な機会があったのも、あらためて三農あってのことと心より感謝の気持ちで一杯です。

(昭和43年度畜産科卒業、現在同所 品質部門、部門長補佐)